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「何卒」とは「なにとぞ」と読みます。
ときどき「なにそつ」と読んでしまうことがある、間違えやすい言葉です。
「何卒」と言う言葉は主に漢字で目にすることが多いため、読み方を勘違いしてしまうケースが多いようです。
間違えてしまう原因の一つに「なにそつ」と書いて変換すると「何卒」と変換されてしまう事もあげられます。
変換できてしまうと問題なく使い続けられることから、間違いを直すことができないままになってしまう可能性もあります。
「何卒」は原則、単体で使うことはありません。
既にご存知のとおり、何かをお願いする時に「よろしくお願いいたします」の頭に付けるのが一般的です。
ちなみに、何卒はお願いをする場で幅広く使用することが可能です。
このように謝罪をする際にも使用できるので、丁寧さがぐっとアップします。
謝罪であったり、何かをお願いする時に使用するのであれば、「何卒」ではなく「どうぞ」でも良さそうです。
しかし、「何卒」と「どうぞ」では正式な意味が若干異なります。
そのせいで相手の受け取り方も微妙に変化してしまう可能性が出てきます。
この二つは確かにほぼ同じ意味合いを持っています。
しかし、大きな違いがあります。
それは「何卒」は「どうぞ」と言う言葉を改まった言い方にしたものだからです。
つまり、「何卒」と使うことで、「どうぞ」よりもさらに改まった丁寧な言い方へと進化させているのです。
「どうぞ」と言う言葉には二通りの意味があり、それぞれ使い方が異なります。
一つ目の意味は、何かを譲ったり、薦める時に使用します。
二つ目の意味は、丁寧にお願いしたいときや、心からその旨を願っている気持ちを表す時に使用します。
こちらの意味の「どうぞ」をさらに丁寧に改まった意味を持たせることで「何卒」という言い方に変化します。
この二つの使い分けをあげるとすると、「何卒」の方は主に文章で使用するということです。
かたや「どうぞ」に関しては文書で使用しても不自然ではありませんが、口語として使用することもできます。
「何卒」と「どうぞ」について、明確な正しい使い分けがあるわけではありませんが、当然重要度、丁寧度によって使い分けるのが一番です。
相手との距離感やお願いする内容をよく考えて「どうぞよろしくお願いいたします」では失礼ではないかを考えればよいでしょう。
あまり深く考えても分からない場合は「何卒よろしくお願いいたしします」としておけば問題ありません。
やはり大変使い勝手がよく、便利なフレーズであることが分かります。
「類語」とは「類義語」とも呼ばれる、意味が似ている言葉のことを指します。
文章や言葉の中に同じ言葉が続くとあまりよろしくありませんので、同じ意味の別の言葉に変換することをおすすめします。
その際に、知っておくと便利なのが「類語」です。
ここまででお話しているとおり、ことの重要度や丁寧さなどの重みが少々異なりますが「どうか」は万能な「何卒」の類語です。
他には以下のような類語があります。
「何卒」の類語を使用する場合に注意したいポイントは、その他の類義語と併用しないことです。
もっともっと丁寧にしたい、強く訴えかけたいと思う余りに「何卒どうかよろしくお願いいたします」と類語を重ねてしまうケースです。
これでは少々くどくなりすぎてしまい、ビジネスシーンではあまり相手に良い印象を与えません。
「何卒」と言う言葉の意味をきちんと理解していれば、これ一つだけでも十分丁寧な言い回しになっていることが理解できますので、このようなミスは防げます。
「何卒」の意味が分かったところで、どのようにして使うのが正しいかについてお話ししていきましょう。
すでにお話しした「類義語を重ねて使用しない」点も忘れずに注意してください。
いくら丁寧に強くお願いしたいといっても、同じ文章内で「何卒」を繰り返し使ってしまうのはいただけません。
基本的には、一つの文章内に「何卒」は一度に収めるようにしてください。
せっかくこちらの願いを強調している言葉であるにもかかわらず、多用することでその意味が薄れてしまいかねません。
また、受け取り手によっては何度も強くお願いされることで、重く受け止められすぎてしまう可能性もあります。
適度に重く受け止めてもらうのは、内容によって構いませんが、無駄に重くしてしまうのはまとまりも悪くなりますのでおすすめできません。
「何卒」の使用は最小限であることも覚えておいてください。
実はこの一文は、「何卒」を使って丁寧にお願いするにあたってあまりふさわしくない表現です。
「何卒」というフレーズを使用して言葉を作る場合は、こちらが正解となります。
違いがお分かり頂けますでしょうか。
そうです、「お願い」に続く言葉が異なります。
「何卒」は尊敬語ではない事からこのような使い方となります。
あくまでも「どうぞ」を相手に丁寧に受け取ってもらうための言葉です。
「何卒」に続く言葉が「お願いします」と丁寧語で終わってしまうのはいかがなものでしょう。
このあたりは日本語の難しい所ですので、あまり深く考えないほうが無難ですが、なぜかについてもご説明しておきます。
「お願いする」が元となりますので、「する」の丁寧語は「します」となります。
そのため、最初の例文「お願いします」では丁寧語が続いていることになります。
そこで登場するのが「する」の謙譲語となる「いたす」です。
「何卒」の後に続けるのであれば謙譲語のほうが正しくなり、丁寧さをきちんと相手に伝えることができます。
このような使い方がベストです。
せっかくの丁寧にする言い回しとなる言葉「何卒」を無駄にしないよう、続く言葉にも注意を払いましょう。
豆知識として知っておくと便利なのが「お願いいたします」と「お願い申し上げます」の違いです。
この二つはどちらも「お願いします」をより丁寧に表現する言葉です。
「どうぞ」よりも「何卒」のほうが丁寧な表現になるのと同じです。
しかし、「お願いいたします」と「お願い申し上げます」の違いも気になるところです。
まずこの点を理解しておきましょう。
これを踏まえた上で「お願いいたします」と「お願い申し上げます」の違いについてお話ししましょう。
「お願いいたします」の場合はお願いを「する行為」と言うことに対しへりくだった言い方となります。
かたや「お願い申し上げます」にすると、お願いを「言うこと」に対しへりくだった言い方となります。
つまり、お願いをする行為に対して「何卒お願い」とするのであれば、前者である「お願いいたします」とするほうが一般的です。
「お願い申し上げます」と使用すると、お願いすることも申し訳ないという意味合いが強くなります。
こちら側に不手際があった時など、謝罪に対する文章では「お願い申し上げます」としたほうがより強く気持ちを表せますので、ケースバイケースで使い分けるようにしましょう。
それでは最後に、「何卒」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
「何卒よろしくお願いいたします」
最も一般的な使用例となります。
文章の結びに使用するとよいでしょう。
「何卒ご確認いただきますようお願いいたします」
「何卒ご了承ください」
「何卒ご協力のほどお願いいたします」
お願いをするだけでなく、何かを依頼する際に使用するとよい例文です。
「何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」
「何卒ご容赦のほどお願い申し上げます」
「~申し上げます」を使用していますので、謝罪の意味が強いケースでの使用が望ましい例文です。
「何卒」に続く言葉を書く際に便利なのが「~のほど」という言葉です。
さまざまなシーンで「何卒」という言葉を使うことができますが、その時にお願いの内容などを分かりやすく伝えることができます。
例えば、メールの返信をお願いしたい場合は、「何卒ご返信のほどよろしくお願いいたします」とすれば分かりやすくなります。
「~のほど」と言う言葉はこのようなシーンで大変便利に使うことができます。
「ご了承のほど」や「ご検討のほど」、「ご理解のほど」など上手に使いこなしてください。
多くのシーンで活用することができる「何卒」と言う言葉についてご紹介しました。
幅広く使用することができるのに、あまり言い回しに違いが無いことから、一度使い方を覚えれば怖いものなしの存在です。
途中登場した「お願いします」ではなく「お願いいたします」にすることと、多用しないことに注意すればOKです。
当たり前に使用していたり、目にする言葉であるにもかかわらず、意味を知らないということは珍しくありません。
ですが意味を知ることで、相手から受け取った文章に「何卒」とあった場合の解釈も変わってきます。
知らなくても大丈夫なことでも、知っておくことで役に立つ場面は必ずあります。
「何卒」の意味や使い方も、これを機にぜひ覚えておいてください。
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