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「続柄」について語る上で、まずは読み方についてお話しします。
なぜ敢えて読み方から話しはじめるのか、それは実に9割近い方が正しい読み方をしていない、知らないと言われているためです。
「続柄」には2つの読み方が存在します。
読み方を質問したら大抵の方が「ぞくがら」と読むようです。
これが1つ目の読み方です。
しかし、「続柄」の正しい読み方は「ぞくがら」ではありません。
正式な読み方は「つづきがら」となります。
これが2つ目の読み方です。
ただ、昨今では正しい読み方ではなく「ぞくがら」と読むほうが一般的となりつつあります。
辞書などによっては「ぞくがら」として登場するものも出てきているようです。
「つづきがら」は本来、昭和48年に内閣告示第2号「送り仮名の付け方」通則6に当てはめると、送り仮名の入る「続き柄」と標記されるべきであると考えられています。
では、なぜ送り仮名は消えてしまったのでしょう。
それはとても単純な理由と原因からきています。
「続柄」という送り仮名を省いた表記は、役所などの「内部用語」として使われるようになりました。
それを勘違いして「ぞくがら」と誤った読み方をしてしまい、それが広まり定着したと言う説があります。
先ほどもお話ししたとおり、正しい読み方である「つづきがら」よりも、現代では「ぞくがら」と読むことが一般的となりました。
「続柄」のふりがなが「つづきがら」ではなく「ぞくがら」とされることも増えてきています。
このように、正しい読み方ではないものが一般化し広まっていくことはあまり珍しい話ではありません。
最近では「ぞくがら」と読むことを一概に誤用であるとは言えない状況になっているのです。
もしかしたら近い将来には「続柄」は「ぞくがら」と読むほうが正しいと変化している可能性もあります。
続柄とは簡潔に説明すると親族の間の関係性を指すものです。
公的な書類を作成する際に「続柄」を記入することがあります。
それは記入している人物の親族間の関係をわかりやすく明示するためのものです。
記入された続柄を見るだけで、その人の親子関係や、婚姻関係などが一目瞭然でわかるようになっています。
同じ続柄であっても、戸籍上と住民票上では続柄の意味合いが少し異なります。
これは戸籍を重要視する文化を持つ日本ならではのことです。
住民票上の続柄は、あなたと同一世帯に同居している人の関係を明示します。
これが戸籍になると、同一世帯だけではなく、あなたの血縁関係・婚姻関係すべての親族関係が明示されることとなります。
戸籍上と住民票上で異なる部分をもう少し補足すると以下のとおりとなります。
このようなことから、住民票の続柄の項目には中心人物を定め、その人から見た間柄について明示されているのです。
続柄の書き方は曖昧ではいけません。
それは続柄の書き方そのものが法律で定められているので、誤りなく記入する必要があるからです。
まずは基本的なものとなる続柄の一覧をご紹介します。
本人(あなた) | - |
---|---|
本人の妻 | 妻 |
本人の子ども | 子※1 |
本人の父・母 | 父・母 |
本人の兄弟・姉妹 | 兄・弟・姉・妹 |
本人の父方・母方の祖父母 | 父の父・父の母・母の父・母の母 |
本人の叔父・叔母 |
父の兄・父の弟・父の姉・父の妹 母の兄・母の弟・母の姉・母の妹 |
本人の子どもの夫・妻 | 子の夫・子の妻 |
本人の孫 | 子の子 |
本人の兄弟・姉妹の夫・妻 |
夫の兄・夫の弟・夫の姉・夫の妹 妻の兄・妻の弟・妻の姉・妻の妹 |
本人の兄弟・姉妹の子ども | 兄の子・弟の子・姉の子・妹の子※2 |
※1.戸籍上は「長男」「長女」「二男」「二女」などと記入するが、一般的には「子」で問題ない
※2.本人の兄弟・姉妹の子どもは、戸籍上は甥(おい)・姪(めい)になるが一般的には「兄の子」「弟の子」「姉の子」「妹の子」でOK
夫・妻の父母 |
夫の父・夫の母 妻の父・妻の母 |
---|---|
夫・妻の祖父母 |
夫の父の父・夫の母の母 妻の父の父・妻の母の母 |
夫・妻の兄弟・姉妹 |
夫の兄・夫の弟・夫の姉・夫の妹 妻の兄・妻の弟・妻の姉・妻の妹 |
夫・妻の兄弟・姉妹の子ども |
夫の兄の子・夫の弟の子・夫の姉の子・夫の妹の子 妻の兄の子・妻の弟の子・妻の姉の子・妻の妹の子 |
夫の父の兄弟・姉妹 |
夫の父の兄・夫の父の弟・夫の父の姉・夫の父の妹 夫の母の兄・夫の母の弟・夫の母の姉・夫の母の妹 |
妻の母の兄弟・姉妹 |
妻の母の兄・妻の母の弟・妻の母の姉・妻の母の妹 妻の母の兄・妻の母の弟・妻の母の姉・妻の母の妹 |
夫の父の兄弟・姉妹の子ども |
夫の父の兄の子・夫の父の弟の子 夫の父の姉の子・夫の父の妹の子 |
夫の母の兄弟・姉妹の子ども |
夫の母の兄の子・夫の母の弟の子 夫の母の姉の子・夫の母の妹の子 |
妻の父の兄弟・姉妹の子ども |
妻の父の兄の子・妻の父の弟の子 妻の父の姉の子・妻の父の妹の子 |
妻の母の兄弟・姉妹の子ども |
妻の母の兄の子・妻の母の弟の子 妻の母の姉の子・妻の母の妹の子 |
同じ世帯で生活している場合でも血縁関係や婚姻関係が無いケースも珍しくありません。
このような場合の続柄は以下のとおりです。
同棲や事実婚の場合の相手 | 夫(未届)・妻(未届) |
---|---|
事実婚の場合の相手の子ども | 夫(未届)の子・妻(未届)の子 |
連れ子・養子縁組していない子ども | 夫の子・妻の子 |
婚姻関係者以外との内縁関係の相手 事実上の養子 |
縁故者 |
どれにも当てはまらない相手 | 同居人 |
婚姻届を出しているかいないか、養子縁組をおこなっているかいないかで続柄が異なります。
親族以外・血縁者以外の続柄については、注意して記入するようにしましょう。
基本的な続柄の意味と、一覧を見ていただい所で、実践編と題し、続柄の書き方についてご紹介しましょう。
続柄を書くときのルールは、書類を書く人「あなた(本人)」から見て、相手がどのような関係性を持っているかがベースとなります。
一般的に「続柄」は「世帯主」を中心とした血縁関係・親族関係・その他の人たちの関係性を記入します。
住民票などがその例で「世帯主」を起点として続柄を書いていくルールとなっています。
しかし、書類によっては住民票とは異なり「世帯主」を起点とせず「あなたとの続柄」と聞かれるものもあります。
これがこの章の冒頭ででてきた、「あなた(本人)」から見て、相手がどのような関係性を持っているかのことになります。
では、ここまでで登場したいくつかのキーワードについての補足をしておきましょう。
「世帯」と「世帯主」は同じ言葉が使われていますが、意味が異なります。
「世帯」とは親族関係・血縁関係を問わず、一つ屋根の下で生活を共にしており、生計を共にしている人たちをさします。
ただし、「世帯」としてみなすにはこの2つの条件
のどちらにも当てはまらなければいけません、
これについて分かりやすく説明すると、同棲して同じ部屋に暮らしているけれど、生活費などは別々にしている場合は「世帯」とはみなされないということです。
世帯主とは当然一つの家の中で共に暮らしており、生計を共にしている人です。
そこに加え「世帯主」は、その世帯の中で生計を維持するためにもっとも重きを置いている人を指しています。
または、その世帯の中で代表となるのが妥当だと考えられる人物です。
大方の世帯の場合、もっともお給料が多い人を世帯主とするケースが目立ちます。
先ほど登場した「一緒に暮らしているけれど、生計は別」という同棲のケースなどがこれに当たります。
同じ家で生活していて、そこに住民票を置いていても生計が別であれば、その家の中には「世帯」が2つ以上あるとみなされます。
つまり、世帯主も二人以上存在するということです。
世帯の中に世帯主を決めることは、今回の話に繋がる理由があります。
それは「続柄」をわかりやすく表記することが可能となるからです。
先にも登場しましたが「住民票」の続柄は、「世帯主」を起点として「世帯主」からみた関係性をあらわします。
ですから「世帯主」が存在しないことには、住民票の続柄が成立しません。
他にあげられる理由としては、住民票が世帯ごとに編成されていることは、管理・検索機能が充実する点です。
管理がしやすくなれば役所・役場などの公的機関から住民への連絡がスムーズに行え、処理スピードが早くなるメリットがあります。
住民票の場合は「世帯主」を起点とした続柄が明示されます。
ただし、その他の書類で「あなた(本人)」から見た続柄を問われた場合は、繰り返しお話ししているとおり、その書類を記入(または申告)する人から見た関係性を明示できるようになくてはなりません。
例えば「世帯主とあなたの関係」を項目に記入するとします。
そしてあなたが「世帯主」本人だとしたらどうなるでしょう。
世帯主はあなた自身となりますので、この場合の続柄は「本人」と記入することとなります。
今度はあなたのご両親のどちらかが世帯主だったとします。
この場合は「父」もしくは「母」と記入します。
関係性を書くとしていますが、このようなとき「親子」とは書かない事も覚えておいてください。
ちなみに、あなた自身が世帯主の場合は「本人」でも「世帯主」でも、どちらで記入しても問題ありません。
それでは続柄を記入することとなる書類別に、どのような続柄の定義・書き方があるかについてお話ししましょう。
先ほどご紹介した基本的な続柄の一覧より、「あなた(本人)」を「世帯主」と考えてそこを起点とし記入します。
年末調整のために記入することとなる「扶養控除申告書」での続柄も分かりにくく悩まれる方が多いです。
特に世帯主ではない「主婦」の方が混乱しやすいようです。
具体的な例をあげてご紹介しましょう。
用紙の一番上の記入欄に記入する部分です。
申告者はあなた自身なので、あなたの名前を記入します
例)木村みどり
ご主人が世帯主となりますので、「世帯主の氏名」の欄にはご主人の名前をフルネームで記入します。
例)木村太郎
そして、次がポイントです。
「あなたとの続柄」の欄には「夫」と記入しましょう。
ここでミスしやすいのが、「あなたとの続柄」と聞かれて「妻」と書いてしまうケースです。
それでは「夫」であるご主人が「妻」として処理されてしまいます。
あくまでも記入(申告)する「あなた(本人)」を起点として考えるということを覚えておきましょう。
これが分かっていればそれ以降の「控除対象となる扶養親族」の項目でも、続柄を悩むことなく記入できるでしょう。
「あなたとの続柄」の場合、関係性を明確に記入するルールは特にありません。
ですが、わかりいやすいので、「父」「母」「子」のように記入するとよいでしょう。
基本的には住民票と同じく、「世帯主」からみた関係性を記入します。
確定申告の書類「確定申告書A」の上部には、確定申告を行う本人(あなた)の名前や住所・生年月日などを記入する欄があります。
その中に「世帯主の氏名」「世帯主との関係」という項目があります。
これを先ほどの「年末調整」と同じ夫婦を例にしてみましょう。
申告者(あなた) 「木村みどり」
世帯主 「木村太郎」
世帯主との関係 「妻」
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出生届に関しては先ほどの一覧では「世帯主」が誰かで異なるとご紹介しました。
これがどのような意味を持っているかについてご説明しましょう。
世帯主が出生届を出す子どもの父親の場合は、続柄は「子」となります。
しかし、祖父母なども同一世帯で生計を共にしている場合、祖父が世帯主であるケースも珍しくありません。
そのような場合は、世帯主(祖父)の子(父親)の子どもとなりますので「子の子」と記入することとなります。
公的書類は一般的に「住民票」と同じ扱いをしますが、婚姻届や離婚届は戸籍謄本に倣って記入してください。
住民票には同一世帯の同一生計の関係性しか明示されていません。
その点、戸籍には血縁がないケースの関係性の人も明示されています。
婚姻届や離婚届については戸籍上の正しい関係性を記入する必要がありますので、必ず戸籍謄本をみて記入するようにしましょう。
大抵の場合、年に1度ぐらいしか記入することが無いため、混乱しがちな「続柄」についてお話ししました。
慣れないものに対しては「難しい」と拒否反応を起こしてしまうこともあります。
しかし、実際に見てみると続柄に関するルールはたった2つです。
そう考えると、どちらかに当てはめればよいだけなので考え込む必要はありません。
続柄を書くための書類としてよく登場する「住民票」と「年末調整」そして「確定申告」の書類について把握しておけば、ひとまず問題はありません。
そして、記入する際は、今回ご紹介した基本的な続柄一覧を参照していただいて、正しい関係性を記入するようにしてください。
続柄を記入する書類は大半が公的な書類です。
誤った続柄を書いてしまうと訂正に手間がかかることもあります。
もし迷ったら提出先に確認を取ってから記入しても問題ありません。
「あなた(本人)」が起点か、「世帯主」が起点か。
どちらが起点かわかれば、おのずと記入する内容はわかるでしょう。
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