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2026.10.16 起業/スタートアップ

【マシュマロ回答】起業してから一番大変だったことは何ですか?







FULL HOUSE代表の松本昇(まつもとしょう)が、読者やフォロワーから寄せられた質問に回答する「マシュマロ回答」シリーズ。

今回は「起業してから一番大変だったことは何ですか?」という質問。

2016年3月の創業から11期目を迎えたFULL HOUSE。これまでの経営を振り返り、起業後に経験した最大の困難についてお話しします。

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質問内容と前置き

 

起業してから一番大変だったこと

 

マシュマロで頂いた質問にFULL HOUSE代表の松本 昇が回答するシリーズ!

第二弾はまさしく起業家への質問!という感じの内容で「 起業してから一番大変だったことはなんですか? また、それをどうやって乗り越えましたか? 」というもの。

 

2016年に起業してから11年目にもなりますので何度も胃に穴が開くかのような苦労はしてきていますが、今回はその中でも特に大変な「資金繰り」について語ります。

起業家としては結構熱いテーマなので、かなり要点のみに絞ったつもりですがそれでも長くなりました 笑

 

起業しようか悩んでいる あるいは 資金繰りに困っている という起業家さんがいたら相談に乗りますので Facebook などでお気軽にメッセージを下さいね。

 

松本のFacebookページはこちら→  https://www.facebook.com/sho.matsumoto.942

過去のマシュマロ質問回答はこちら →  https://flhouse.co.jp/category/9

 

 

起業で一番大変なのは人事(採用)と資金繰り

 

まず一般論になりますが起業あるいは企業経営で一番大変なのは人事(採用)と資金繰りだと私は思っています。

めっちゃ優秀な人が集まって、めっちゃお金があれば大抵のことは上手く行くので極論ではありません 笑

 

そしてここからは弊社の話で、まず前者に関してですが、弊社の場合は「起業時から私を含めて超コアメンバーが3人揃っていた」というのが大きいです。

 

・毎食を共にしてシェアハウスで一緒に暮らすくらい仲が良い

・絶対に裏切らないだろうし、辞めることも想像出来ない

・創業当初から取締役、かつ大株主でもある

 

と前提条件に恵まれており、

 

・CEOである松本:経営全般、資金繰りや法務や会計などバックオフィス全般、マーケ

・COOの加瀬:営業や人事、組織開発など

・CTOの青井:フルスタックエンジニア

 

で役割分担や専門領域がはっきりしているのも大きかったです。

 

つまり、普通の会社なら大きくリソースを取られて悩む人事・採用に関して、少なくとも起業して数年はあまり悩まずに済みました。

すると必然的に残るは資金繰り。こちらは逆に「普通の会社以上に」弊社が大きく悩み続けることになります。

 

 

資金繰りで何が具体的に大変で、どう乗り越えてきたのか

 

結論を先に書くとコロナ禍が一番大変でした。

ただそれだけだと面白味がないので、コロナ禍以外も含めて3つに分けて解説してみましょう。

 

なお、テーマとして思い入れが強いので、実質的にFULL HOUSEの歴史解説記事のようにもなってしまっています 笑

 

▼第一の資金繰り危機:起業当初

 

当然ながら起業するには先立つもの=お金が必要です。

弊社の場合は多くのベンチャー企業が選択するであろう「外部からの出資を受ける」という選択肢を選びませんでした。

 

そのため、創業時の資本金は実質的に全て私が用意しました。

というのも、創業メンバーの2人にも株主になってもらいたかったので、私がお金を工面して2人に貸し、それぞれ出資してもらったのです。

もちろん私自身にも潤沢な資金があったわけではなく、文字通り「お金が手元に全然ない状態からのスタート」となります 笑

 

※なお、なぜ出資を受けなかったのかに関しては、いずれ別記事で解説しようと思います。

 

まず動いたのが日本政策金融公庫からの融資です。

これに関してはしっかり準備して臨みましたが弊社として融資していただけたのは数百万円でした。

出来れば1年分の運転資金として2,000万円くらいは自己資金と融資で用意するのが理想だと思っていましたが、その半分にもなりません 笑

 

理由としては、政府系金融機関として強くベンチャーを応援してくれているとはいえ、やはり金融機関なので「貸した資金を回収出来るか」は強く重視されます。

その際に重要になるのが自己資金や事業計画の実現可能性で、外部からの出資を受けておらず手元の現金が多くない私たちは、創業時点で信用力が高いとは言えませんでした。

さらに弊社の場合は「WEBメディアを作ります」という事業計画でして、これは私の経験上、すごく融資を受けづらい印象があります。

 

なぜかというと、「不動産や工場に投資します」となると、それが実物資産として残り、場合によっては融資の担保として活用することもできます。

一方で、WEBメディアに投資する場合、例えば記事やコンテンツの制作費用は「人件費」や「外注費」として費用処理されることが多く、投資した分がBS(貸借対照表)上に資産として残りません。

 

私たちとしては「WEBサイトを作ってそこに記事やコンテンツを溜めていくのは財産だ!それが将来的に利益を生むんだ!」ということで投資しているのですが、会計上それをそのまま資産計上するのはかなり難しく、BS上では無に消えていくのです 笑

 

※もちろん、ソフトウェアの開発費用などは無形固定資産として資産計上できる場合もあります。実際の取り扱いは制作物や開発内容、適用される会計・税務上のルールによるので、詳しくは顧問税理士さんなどに相談してみてください。

 

また、公庫さんからの融資と並行して動いたのがいわゆる「ラーメン代稼ぎ」でした。

要するに、本業のWEBメディアが収益化するまでの間、別の仕事で日々の運転資金を稼ぐということです。

 

具体的には、

 

・WEBサイトやアプリの制作代行

・マーケティングコンサルティングや広告の運用代行

・採用代行や人事コンサルティング

・販売代行や営業系の外注

 

などです。

こういった「大きな元手なしにその身一つで稼げるスキル」がどれだけコアメンバーにあるかが、「資金繰りに追い詰められた際の粘り」、ひいては「倒産せずに会社を存続させられるか」に繋がります 笑

 

実際問題として上記のような「すぐに稼げる領域」でそのまま起業しない限り、「外部からの出資を一切受けずに、自己資金や融資だけで新規事業のみに集中できる企業」というのは非常に少ないと思います。

弊社もその例に漏れず、危機が訪れるたびにこういった「個人技」によるラーメン代稼ぎで乗り切ることになります。

 

 

▼第二の資金繰り危機:コロナ禍

 

コロナ禍は大変でした…というのはほとんどの企業が口を揃えて言うことだと思いますが、弊社の場合はひときわ苦労しました。

理由は大きく2点で、

 

①弊社の当時の主力事業が「 はらへり (グルメメディア)」と「 TABI CHANNEL (旅行・観光メディア)」というよりにもよってコロナのダメージを特に強く受ける領域であった。

②政府や東京都の支援策は「飲食店」に対しては比較的手厚かったが、その周辺事業者に対する支援は十分とは言い難かった。

 

①に関してですが、弊社はWEBメディアなので、メディアのPVやユーザー数を伸ばす→広告を載せてもらう という流れでお金を稼ぎます。

コロナ禍で飲食店や旅行・観光関連企業が積極的に広告出稿できるはずもなく、緊急事態宣言などで営業自粛していた店舗が営業再開した後にも、弊社の主力メディアではなかなか広告収入が戻ってきませんでした。

 

また特に緊急事態宣言時などには、出歩く人自体が大幅に減っており、おすすめの飲食店情報などを紹介する「はらへり」や観光スポットの解説をする「TABI CHANNEL」のPVは、最盛期と比べて10%以下にまで減りました。

つまり、ピーク時の9割以上のPVが吹き飛んだのです 笑

 

当時は飲食店に休業や営業時間短縮の要請が出ており、法的な強制力の有無はともかく、私の体感ではほとんどの店舗が自粛要請に従っていました。

弊社がオフィスを構える池袋のサンシャインシティなども、人っ子一人おらずゴーストタウンのようになっていましたからどうしようもありませんでした。

 

②については、特に東京都の場合、飲食店には休業や営業時間短縮の要請に応じることで、一定の協力金が支給される制度がありました。

しかし、その飲食店を取り巻く経済圏、例えば「肉や米などの食材の卸業者」、「おしぼりなどの消耗品や什器などの納品業者」、そして我々のような「広告やマーケティングの支援業者やメディア」などには、飲食店の休業や時短営業に対する協力金と同じような支援が行き届かず、資金繰りに困窮する企業も多かったと思います。

もちろん、持続化給付金や月次支援金など飲食店以外を対象とした支援制度もありましたが、弊社のような企業にとっては十分とは言えませんでした。

 

ただし継続的な給付金や協力金などによる支援は不足していたものの、この時も日本政策金融公庫から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」として多額の融資を受けることは出来ました。

また社会保険料に関しても、コロナ禍の特例措置などによって納付を猶予してもらうことができ、資金繰りの面で非常に助かりました。

 

もちろん給付金や緊急融資による資金調達に加えて、前述した役員はじめコアメンバーの個人技で稼ぐ一方、「はらへり」、「TABI CHANNEL」に代わる新たな収益源の模索も始まります。

そして、コロナ禍をきっかけに始まったこの模索が、紆余曲折を経て、今のFULL HOUSEの主力事業である「就活支援事業」へと繋がっていくのです。

 

なお、猶予していただいた社会保険料に関しては、この記事の執筆時点で既に発生した延滞金も含めて全額納付を終えておりますが、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」に関しては、弊社の場合は2025年末から元本返済が始まり、ここから約10年かけて返済していくことになります。

 

つまり、まだまだ私たちにとってのコロナ禍は終わっていません。

 

 

▼第三の資金繰り危機:Googleコアアップデートと検索環境の激変

 

これは現在進行形の危機になります 笑

実は私たちは未だに危機の中にあり、第二創業期ともいえる激動の日々を送っているのです。

 

前提として、私たちの主力メディアである「はらへり」や「TABI CHANNEL」を始めとした運営メディアは、その集客をGoogleなどの検索エンジン経由の流入に強く依存しており、SEO(検索エンジン最適化)が事業の生命線でした。

簡単に言えば「より多くの記事をより多くのキーワードで検索上位に表示させて、より多くの人に読んで頂く」ことで弊社の収益は伸びます。

 

その大事な大事な検索結果で「どのサイトを上位に表示するか」を決めるGoogleの検索アルゴリズムやシステムに、大規模な変更を加えるのがコアアップデートです。

つまりはコアアップデートの前後で、FULL HOUSEの運営メディアのPV、ひいてはFULL HOUSEの売上や利益は極めて大きく変動することになるのです。

 

コアアップデート通知ツイート
※2026年5月に実施されたGoogleコアアップデートの告知例

 

このメディア・SEO業界の一大イベントともいえるコアアップデートは、年に数回、不定期に行われ、Googleから「今日からコアアップデートやりますよ」と告知されます。

創業して最初のメディアである「 Petpedia 」を立ち上げてから10年以上もの間、弊社はこの結果に一喜一憂し続けることになるのですが、その風向きが大きく変わったのが2024年頃でした。

 

それまでもGoogleは「E-A-T(Expertise:専門性、Authoritativeness:権威性、Trustworthiness:信頼性)」といった考え方を重視しており、2022年12月には「Experience:経験」が加わって「E-E-A-T」となりました。

これは簡単に言えば、コンテンツの内容だけでなく「誰が、どのような経験や専門性に基づいて発信しているのか」という点も重要だという考え方です。

 

具体的にはまず、金融や医療などの「YMYL(Your Money or Your Life)」と呼ばれる、健康やお金など人々の生活に大きな影響を与える領域で、情報の信頼性や専門性がより重視されるようになりました。

 

その結果、私の現場感覚としては、政府や自治体などの公的組織、大学や病院などの専門機関・研究機関、そして大企業の運営するサイトが検索上位を占める傾向が強まっていったと感じています。

 

それまでは「Content is King」と言われていましたが、「コンテンツがどういったものか」に加えて「誰がそれを発信するのか」もより強く意識される時代になってきたと感じています。

どれだけ情熱をもって取材や調査を頑張っても、個人や中小企業が「大企業や専門機関以上の権威や(実績や裏付けのある)専門性を持つ」ということは並大抵のことではなく、多くのブログやアフィリエイター、そして中小企業の運営するメディアが医療・金融情報の検索結果を手始めに淘汰されていきました。

 

その領域は年々拡大を続け、その影響がついに弊社の主力事業である「はらへり」や「TABI CHANNEL」まで及んだのが2024年頃でした。

ちょうどこの頃からChatGPTを始めとした生成AIの利用が盛んになり、AIで大量生成された低品質な記事がネットに出回るようになりました。

Googleもこうした低品質なコンテンツへの対策を強化していましたが、私の現場感覚としては、その一方で大企業や公式サイトが検索結果で優遇される傾向も強まっていったように感じています。

 

例えば以前は「池袋 ランチ」で検索すると、「はらへり」が公開する「 おすすめの池袋ランチ●選! 」のようなキュレーション系の記事が検索上位には表示されていましたが、徐々に飲食店の公式サイトばかりが表示されるようになりました。

 

検索結果は常に変化し続けているため、時期やキーワードにもよるのですが、「ランチで検索したら吉野家やマクドナルドなどの公式サイトばっかりが出てくる」ということが実際に起こっていました。

 

数か月おきに訪れるコアアップデートの度に弊社の売上・利益はみるみる減っていき、最終的には、コロナ禍から一度回復した時期のPVと比べても、またしても90%減の悪夢にさいなまれるのです 笑

しかもコロナ禍のダメージが強く残る状態であるため、資金繰り状況は芳しくなく、頼みの日本政策金融公庫様からの追加融資も極めて難しい状況でした。

何しろ、多額のコロナ緊急融資について元本返済がまだ始まってすらいなかったのですから。

 

これに関しての対応策としては「新しい資金調達方法」と「新たな収益源」の模索でした。

 

会社売却すらも見据えて、多くのM&A会社や買収候補企業様ともお話を進めました。

しかし、最終的には「追加融資を頂いて、それを元手に新規事業で立て直す」という方向性で着地し、今現在も走り続けています。

 

その新規事業こそが現在の弊社の主力事業である就活支援事業「 ジョブさがーす 」です。

また追加融資に関しては前述の通り、日本政策金融公庫様からの追加融資は難しいと考え、東京信用金庫様から融資を頂いています。

 

ベンチャーや中小企業ならではの苦しい台所事情を理解し、なるべく前向きな姿勢で融資に寄り添って下さる強みが、地域密着型の金融機関である地方銀行や信用金庫にはあると思っていましたし、実際に某メガバンクでは門前払いされていた状況の弊社に寄り添って融資実行まで根気強くお付き合いくださいました。

 

そして2024年に「メディアから就活事業への急な主力事業のピボット」を経てがむしゃらに走り続けて2年。

FULL HOUSEの経営状況は大きく改善し、念願のオフィス移転も経て現在は新規メディア「 ジムさがーす 」に心血を注いでいます。

 

「えっ、コアアップデートは?まだメディアやるの?」となりそうですが、「ジムさがーす」には弊社の過去の運営メディアにはなかった強みと勝算があります。

ですが、ここまで想定以上に長くなってしまったのでこの点に関してはまた後日解説しようと思います。

 

 

最後に

 

FULL HOUSEがぶつかってきた(今もぶつかっているw)資金繰りの危機を3フェーズに分けて解説しました。

 

振り返ってみると、資金繰りの危機を乗り越えるために大切だったのは、結局のところ「何が何でも会社を存続させる」という執念と、そのために使える手段を片っ端から模索し続けることだったのかなと思います。

 

また、冒頭でも書いた通り、私の場合はどれだけ危機的状況に追い詰められても一人ではありませんでした。

社長は孤独だとはよく言いますが、私と全く同じとまではいかなくてもかなり近い目線で物事を判断してくれる人間が二人もいて、かつその二人に対して「絶対に裏切らない」という強い信頼を持てたことが私を大きく支えてくれました。

 

何気ない質問への回答のつもりが、結果的に熱が入ってしまい、起業や会社経営のリアルが垣間見える記事になったのではないかと思います。

 

「ここの話をもっと掘り下げてほしい!」などの要望がございましたらまた遠慮なくメッセージやマシュマロを投げつけてくださいね。

 

また弊社では一緒に働くメンバーを大募集しています!

MVCや募集ポジションなどは「 弊社の採用ページ 」にございますのでご興味を持っていただいた方はぜひご覧になって下さい。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

 

この質問への回答者:松本 昇

 

記事の執筆者:松本 昇

 

株式会社FULL HOUSE 代表取締役CEO

松本 昇(マツモト ショウ)

Facebook :  https://www.facebook.com/sho.matsumoto.942

X/Twitter :  https://x.com/sho_fullhouse

マシュマロ(匿名で質問が出来ます): https://marshmallow-qa.com/a0m6ppwe1hlzkar?t=leecP2

 

大阪府出身。京都大学総合人間学部卒業。

2014年にVOYAGE GROUPへ入社し、Web広告・アドテクノロジー領域に従事。2016年に株式会社FULL HOUSEを創業。

現在は代表取締役CEOとして、Webメディア運営、Webマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、就活支援などの事業に携わっている。

 

松本 昇の詳しいプロフィール・経歴を見る

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