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「なる(為る、成る)」という言葉は多義語で、以下のような意味があります。
たくさんの意味があるので、もちろん様々な使い方ができるのは想像できますよね。
「~になります」の言葉の構成は、「に(助詞)」+「なる(動詞)」+「ます(助動詞)」と分解することができます。
丁寧語である「ます」が語尾についているので、「丁寧な言葉」として上司や取引先に対して、あるいはレストランやコンビニなどのお店であればお客様に対しても使われています。
しかし、言葉の意味を分解して考えると、どんな使い方が正しいのかや間違っているかを理解することができます。
「なる」は状態変化を表す言葉と捉えると分かりやすいです。
そのため、以下の例文は正しい使い方と言えます。
「娘は今年10歳になります」
自分の年齢、あるいは子どもやペットの年齢を尋ねられた時に、こう答えることは多いのではないでしょうか。
この「なる」には、「〜歳から〜歳へ」という状態変化が含まれています。
「来年には学生から社会人になります」
こちらも「学生」である状態から「社会人」へと変化する状態を表しています。
「あなたといると元気になります」
元気でない状態から元気な状態への変化を表しています。
「お世話になります」
「お世話」という意味には、「手間がかかって厄介であること、面倒であること」という意味があります。
「手間がかかり、面倒である」存在に変化するという意味で、状態変化を表しているので正しい使い方と言えます。
「お手洗いはこちらになります」
飲食店、あるいは空港やデパートなどの施設でお手洗いの場所を尋ねると、「お手洗いはこちらになります」と案内されたことはありませんか?
「~(場所)になります」という使い方に、先ほどの動詞「なる」の意味を一つずつ当てはめてみると、この言い方が少々おかしいことがわかります。
例えば、今から家を建てる時に土地や図面を見ながら「こちらがお手洗いになります」というのであれば、「今までと違った状態や形に変わる」といった意味に当てはまるため、正しいと言えます。
しかし、お手洗いの場所を尋ねた時の「お手洗いはこちらになります」は、変化を表している言葉ではありません。
「お会計は1,000円になります」
コンビニやスーパー、レストランなどでよく耳にする言葉ではないでしょうか。
「バイト敬語」として指摘されることも多い使い方です。
一見変化を表している意味ではないので間違っているかと思いますが、例外もあります。
例えば「お会計は(合計で)1,000円になります」というニュアンスで使われていれば、誤りとは言えません。
Aという商品とBという商品の合計で「1000円になる」のであれば、正しい言い方であると言えます。
あるいは「こちらのクーポンを使うと、お会計は1000円になります」でしたら、状態変化を表しているので正しい使い方と言えますね。
しかし、バイト敬語としての印象が非常に強いため、ビジネスの場でかしこまった言い方をする際には、「1,000円になります」ではなく、「1,000円でございます」と言う方がより無難でしょう。
「こちらがコーヒーになります」
レストランでお客様の指定した商品を持ってきた店員さんが使用することのある言葉です。
しかし、持ってきたものはすでに商品であり、何かがコーヒーに変化するわけではないので、状態変化を表しません。
一見違いがなさそうに見えますが、場合によってはどちらを使った方がいいのか迷ってしまうこの二つの言葉。
「4月から社会人になります」
「4月から社会人となります」
どちらも違和感はないように感じます。
それでは、この二つの違いは一体何なのでしょうか。
「と」はビジネスメールのように比較的フォーマルな書き言葉で使われることが多く、反対に「に」は話し言葉で使われることが多いです。
さらに「~となります」には、強調のニュアンスも含まれています。
例えば下記のような形です。
1. 「明日はお休みになります」
2. 「明日はお休みとなります」
一見どちらも変わらないように感じますが、ニュアンスとして1は「通常通り休みである」という自然な印象を受けます。
その一方、2は「何らかの原因や要因で例外として休みになっている」という強調のニュアンスが受け取れます。
「~になります」→通常通りの状態変化を意味する
「~となります」→意外性、強調するニュアンスを含んでいる
よく耳にし、かつ伝わりやすいので、思わず言ってしまう「~になります」という言葉。
口語で使用したり、あるいは家族や友人同士であればまだ良いかもしれませんが、ビジネスの場やメール文章にする際は、少し気にしてしまいますよね。
そのような時は、「なる」の意味である「状態変化」の意味を含んでいるかを考えてみてください。
先述の通り、場合によっては「~になります」は誤った使い方になることがあります。
使用時に不安になった場合は、「~でございます」「~です」に言い換えることが可能です。
「お手洗いはこちらになります」→「お手洗いはこちらでございます」
「こちらがコーヒーになります」→「こちらがコーヒーでございます」
「お会計は1000円になります」→「お会計は1,000円でございます」
こちらの方がより丁寧で、自然な表現と言えます。
仕事でもプライベートの場でもよく登場する「~になります」という言葉についてご紹介しました。
よく使われるにもかかわらず、誤った使い方をしてしまうこともありますよね。
相手とのコミュニケーションを円滑にするため、言葉の使い方は正確であることが求められます。
正しく言葉を使うだけでも印象はグッと良くなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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