「ご足労」の意味は?「ご足労おかけし〜」「ご足労いただき〜」の違いと正しい使い方
なんだかかしこまった言葉のように感じますが、正しくはどのようなシーンで使う言葉なのでしょうか。
「ご足労」という言葉に込められた意味と、正しい使い方の基本を、例文を用いてご紹介します。
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「ご足労」という言葉、皆さんはよく使いますか?
ビジネスシーンでは、よく耳にしたり目にしたりしますが、実はこの「ご足労」という言葉、使い方に気をつけないとニュアンスが微妙におかしくなり、相手に失礼になってしまう言葉なのです。
今回は、この「ご足労」の正しい意味と使い方を、例文を用いてご紹介します。
「ご足労」の意味は?
「ご足労」は「御足労」とも書き、「ごそくろう」と読みます。
では、「ご足労」とはどういう意味なのでしょうか。
「足労」とは、足を運ぶ労力という意味合いが込められていますので、フレーズにすると「わざわざ足を運ぶ」となります。
それに、「御(ご)」がつくと敬語になり、相手を敬う言葉になります。
「ご足労おかけし〜」と「ご足労いただき〜」の違いは?
「ご足労」という言葉は、あとに続くフレーズがとても重要です。
ここを間違えると失礼になってしまいますので、押さえておきましょう。
「ご足労おかけし〜」の意味は?
「ご足労おかけし〜」というフレーズを噛み砕いて見てみましょう。
「足労」…「足を運ぶ労力」
「かける」…「(迷惑を)かける」
と分けることができます。
つまり、ふたつの言葉を組み合わせると、「わざわざ私の為に足を運ぶ手間をかけてしまって」という意味になりますね。
ですので、「ご足労おかけし〜」のあとには必ず「申し訳ありません」という言葉、もしくはそのようなニュアンスが続かなければいけません。
「ご足労いただき〜」の意味は?
では、もう一つの「ご足労いただき〜」というフレーズも噛み砕いてみましょう。
「足労」…「足を運ぶ労力」
「いただく」…「(何かを)もらう」
と分けることができます。
つまりこちらは、「わざわさ私の為に足を運んでくれて」と言い換えることができますね。
したがって、「ご足労いただき〜」の後には必ず「ありがとうございます」という言葉、もしくはそのようなニュアンスが続きます。
「ご足労おかけし〜」と「ご足労いただき〜」の例文
では、実際どのように使うのでしょうか。
例文をみてみましょう。
【ご足労おかけし〜】
「この度は、ご足労おかけし申し訳ございません」
「お忙しい中ご足労おかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます」
【ご足労いただき〜】
「本日は、弊社までご足労いただき誠にありがとうございました」
「この度は、お忙しい中ご足労いただきありがとうございます」
と、なります。
「ご足労いただき〜」を使うのは事後の方がいい?
この「ご足労いただき〜」という言葉、事前にも事後にも使えますが、文言を間違えると失礼になってしまうので要注意です。
先ほどお伝えした通り「わざわざ私の為に足を運んでくれて(ありがとう)」という意味が込められていますので、「ご足労いただきますが、よろしくお願いいたします」などと使うと、なんだか少し、上から目線に感じられてしまいます。
なぜなら、「ご足労いただき〜」は、「足を運んでくれた」ことに感謝の気持ちをお伝えする言葉なのに、「足を運んでくれる」ことを前提にしているようなニュアンスになり、感謝の気持ちが全く伝わらなくなってしまうからです。
ちなみに「ご足労いただきますが、よろしくお願いいたします」を、フランクな言い方に換えるとこうなります。
「こっちまできてもらうけどよろしく」
・・・なんとなく、感じ悪ですよね。笑
ということで、「ご足労いただき〜」は、足を運んでいただいたあとのお礼で使う方がしっくりきます。
押さえておこう!「ご足労」の間違った使い方
「ご足労おかけし〜」と「ご足労いただき〜」をみてきました。
どちらもよく使うので、ここで、間違った使い方の例文も押さえておくことにしましょう。
【間違った使い方】
「ご足労おかけし、ありがとうございました」
「ご足労いただき、申し訳ありません」
「ご足労いただきますが、よろしくお願いいたします」
使い方を間違えると、とても違和感があるので気をつけましょう。
また、「ご足労」は相手に敬意を表す言葉ですので、社内の人には使いません。
基本的には、社外の人向けの会話、メール、文書で使う言葉ですので、覚えておきましょう。
まとめ
なんだかこんがらがりそうなので、最後にまとめておきたいと思います。
「ご足労おかけし〜」は、申し訳ない気持ちを表す時に使う
「ご足労いただき〜」は、感謝の気持ちを表す時に使う
したがって
「ご足労おかけし、申し訳ありません」
「ご足労いただき、ありがとうございます」
と使用するのが正解です。
社会人1年目や、あまり目上の人と会う機会がない人にとって、敬語はややこしいものですよね。
そして、間違えるととても恥ずかしい思いをしてしまう、なんだか厄介者。
でも、逆に考えると、言葉ひとつで「私はあなたを尊重しています」ということを伝えられる、実はとっても便利なものでもあります。
正しい日本語をマスターし、大事な取引先との信頼関係を上手に築いていってくださいね。